Na Mg Al Si P S Cl Ar / K Ca

七曲 ドロップス 暗く

■ 秋雨



校門から続く並木道。
雨上がりの夕日。隙間から覗いた一瞬の光をファインダーの奥に焼き付ける。
空を見上げるとドス黒い雲。どんどん加速して今にもまた雨が降りそうだしそうだ。
「あらら、またこんなとこにいる」
そんな声が聞こえたので振り返ってみたけれど、誰もいない。
雨に濡れたグランドとそれに続くどんよりとした空が続くだけ。
「おい少年、どこ見てんだ」
「あ、こんにちは佐々木さん」
真黒なダウンジャケットを羽織った佐々木さんは、しゃがんで地面とにらめっこしていた。
「何してるんですかこんなところで」
「君にならって私も写真を始めてみようかと」
そう言った佐々木さんは地面に散らばった鮮やかな葉と一生懸命対峙している。
手に持っているのはミノルタの昔の一眼レフのようだ。
フルマニュアルとはなかなか渋い。
「どうしたんですかそのカメラ」
「ん?これ?」
ファインダーをのぞいたままこちらを向く佐々木さんにちょっぴりドキッとした。
「そこのバックに入っていたのを拝借した」
「つまり僕のカメラバックから盗んだんですね」
素行が悪くなければ佐々木さんはもっともてると思う。
「盗んだとは人聞きが悪い。いいかい少年。言い方一つで人の行動とは変わるものだよ」
窃盗の他になんと表現すればよかったんだろうかと考えてみるけど、
佐々木さんに貸した本とCDが半年も返ってきていないのを思い出したのでやっぱり窃盗だと思う。
「それに少年。同じ行為でも行動主によってその行為自体の意味が変わってくるのだよ」
文学部の佐々木さんは時々、理系の僕にとってよくわからない論理を展開する。
「ルパンだってクラリスのハートを盗んだけど罪には問われなかったぞ」
でもルパンは日ごろから銭型警部に追われてるわけだし、
佐々木さんが本やCDを返してくれないのだって罪に問えると思う。

「ところで少年」
僕はもう21だけど少年と呼ばれてもいいものだろうか。
佐々木さんが話しかけてくれるのなら少年でもおじさんでも構わないのだけど。
いや、おじさんはやっぱり嫌かもしれない。
「何ですか?」
「写るんですって写るんですよね?ハハハ」
おやじギャグのつもりだろうか。佐々木さんの方がよっぽどおじさんかもしれない。
「写るんですですか?」
「写るんですなんです。この間写るんですで写真を撮ったんだけど写ってなかったんです。何も写ってない真っ黒い写真が24枚もでてきたうえに800円もとられたんだけどなんでだと思う?」
「光が足りなかったんじゃないですか?」
「光が足りないとはどういう意味だね。お姉さんにもわかるように説明してくれ」
佐々木さんは徹底的に科学や数字が苦手だ。この間も
「コタツが壊れたんだけど、少年工学部でしょ?なおして」
と電話をもらって道具をそろえて家にいったらコンセントが入っていないだけだったことがあって
「そうか。最近の家電は難しいね。じゃ少年、お礼に夕飯を一緒に食べてあげる」
と言われて僕はすごく舞い上がったのだけど、まさか僕がご飯を作るはめになるとは思わなかった。
これは余談だけれど。

「たぶん説明してもわからないと思うので、今度撮るときはフラッシュをたいてください」
「フラッシュ?あのピカってなるやつね。高いの?」
「たぶん写るんですに付いてると思います」
「そうか。少年は何でも知ってるな。じゃあ今度フラッシュのたきかた教えて」
「もしかして僕が写るんです買うんですか?」
「お礼に夕飯を一緒に食べてやってもいいよ」
なんて言われて僕はすごく舞い上がったのだけど、それはこの間くらった手なのでさすがに気づいた。

「お、雨だ。また降り出したね。これは大降りになるよ」
カメラを持つ僕の手にも一滴落ちた。
「せっかくいいところだったのに」
「んー、悪意のある雨だねー」
悪意のある雨か。さすがは文学部なかなか乙な表現だと思った。
「そうですね。佐々木さんももうちょっと撮りたかったんじゃないんですか?」
「私はもう撮り終わったさ。少年、じゃこれ出来上がったらみせて」
佐々木さんはそう言ってバックの中にカメラを戻した。
これは僕が現像しなきゃならないパターンなのだろう。
「それじゃ」
そう言って佐々木さんは校舎の方に歩いて行った。
佐々木さんの姿が見えなくなってから確認すると、ミノルタのカメラには案の定フィルムが入っていなかった。
仕方がないのでフィルムを入れなおして、傘をさしながら佐々木さんが撮っていた落ち葉を何枚か撮った。
ミノルタのカメラには佐々木さんの手の温もりが少しだけ残っていて、僕はいつもよりちょっとだけ気合いを入れてシャッターを押したのだ。

■ 早朝のベータ崩壊



「松川くん?もしもし高山です」
「もしもし。高山さん?どうしたの?電車でも乗り遅れた?」
「ううん。そうじゃないんだけど…。松川くん、突然で悪いんだけど裏声って出せる?」
「何?どうしたの?裏声?」
「いいからできるだけ高い声出してみて」
「あ〜」
「よしOK」
「ん?何?どういうこと?」
「昨日さ駅前のカラオケ行ったんだけど…」
「誰か裏声使って歌ってたとか?」
「違うよ。昨日カラオケでオールしちゃって。今から眠るから一限の講義代返しといてくれない?」
「は?いやいやいやいや無理無理」
「大丈夫松川君ならやれる」
「いやいや無理だって。100パーばれるって」
「とりあえず、"はい"って裏声で言ってみて」
「"はい"」
「よしOK。完璧。」
「なにがOK?おもいっきり男の声じゃん過大評価もいいとこだよ」
「大丈夫。今日は私も声かれてるから区別できっこないよ」
「高山さんの声が枯れてるなんて教授が知るはずないじゃん。どんな理屈ですか」
「頼むよ。次休んだら落とされるし、あの授業出てる女子って私だけだから他に頼める人いないのよ」
「だったらなおさら無理だってわかるでしょうに」
「まぁそこは少し難しいかもね。松川君と私じゃね」
「容姿の違いみたいに聞こえますけどー。確かに高山さんはそこそこ綺麗ですけどー」
「そこそこってなによ」
「乗り越えなきゃいけない壁は容姿じゃないでしょうに。何かの間違いで裏声がばれなかったとしても紅零点なら間違いなくアウトー。おとなしく来たら?」
「そんなこと言わないでさ。頼みます。一生の百度のお願いのうちの一つ」
「多すぎない?わがまますぎない?そこは嘘でも一生一度って言っておこうよ」
「そうだ、私ベータ壊変のライブチケットもってるんだ。松川君好きだったよねー」
「え?…マジ?」
「ラジオアイソトープの時代の曲も歌うらしんだけどなー」
「…何その悪魔のささやき」
「大脇先生の核物理概論とってる、ベータ壊変好きの、私と一緒にライブに行ってくれる男の子いないかなー?」
「なんという力業。ママン、僕はたった一枚の紙きれのために心を売りそうです。女の子のふりをして皆の笑い者になってもいいかなぁと思いかけてしまっています」
「切り札は最後にとっておけってね。あのスヌーピーだってルーシーに
"SOMETIMES I WONDER HOW YOU CAN STAND BEING JUST A DOG"
と言われた時にこんな名言残してるんだ
"YOU PLAY WITH THE CARDS YOU'RE DEALT..WHATEVER THAT MEANS"ってね」
「へー、たしかかに名言だ。高山さんスヌーピーなんて見るんだ…ってよく考えればそれって女のふりして代返しちゃいけませんよってことじゃない?」
「じゃあライブ行かないの?」
「行きます」
「松川君はいい子だ」
「高山さんは悪い人だ」
「じゃあよろしくー」


「おっす松川、電話の相手、高山さん?」
「あ、岡谷おはよう。今来たの?丁度良かった」
「なに?」
「突然で悪いんだけどさぁ、ちょっと頼みたいことがあるんだ」
「うん。でも裏声なら出せないよ」
「あっそ」
「がっかりするなよ。KEEP LOOKING UP...THAT'S THE SECRET OF LIFE...」
「え?」
「ともスヌーピーは言ってる」
「お前どっから聞いてたんだよ」

■ 部屋の掃除をしてて昔の日記が見つかったらついつい読んじゃうと思うんだ



一ノ瀬は、かわいい。
一ノ瀬は、綺麗。
運動神経はそこそこだけど、身長が高いので華があるように見える。
一ノ瀬は、細い。
全体的にスレンダーな一ノ瀬が、自分の胸の大きさに満足していないということを、一度だけ私に話してくれたことを覚えている。

一ノ瀬は、頭がいい。
成績も女子の中ではトップクラスで、私と学年で一桁台をよく争っている。
幸いにも、まだ私が一ノ瀬に負けたことはほとんどないらしい。
一ノ瀬と私は月に1回くらい一ノ瀬の部屋で一緒に勉強する。
私は普段から勉強ばっかりしてるけど、一ノ瀬はそうでもないらしい。
一ノ瀬のシャープペンシルの握り方は少し変だけど慣れると洗練されて見える。
一ノ瀬の字は綺麗なのだけど丸みと可愛いげがないところが私には少しだけ不満だ。
一ノ瀬は珈琲が好きで、紅茶派の私には珈琲の美味しさがいまいちわからないけど、それはそれでなんとかなっている。

一ノ瀬には中学生のときからずっと続いている彼氏がいる。
ふたつ年上の、頭のいい、優しそうな彼氏で、それは確か中学のときのバレー部の先輩だったと私は記憶している。
先輩は去年さくっと東大文Vに受かったので、一ノ瀬は先輩を追いかけるために最近頑張り始めている。
私が成績で抜かれる日も近いのだと思う。
かくいう私にも彼氏はいるのだが、この男が最近ダメ男であることにようやく気付いてきたので、よく一ノ瀬に恋の相談という名の愚痴をこぼしている。
そんなとき一ノ瀬はわかるわかると一通り共感してくれたあとに、笑って言う。
「まだ付き合ってて得るものがあると思うならいいんじゃない」
そんなとき私も笑って答える。
「ぶっちゃけ、ないんだよね」
そして二人で笑う。そんな一ノ瀬は、容赦がなくて、好感が持てる。
一ノ瀬の彼氏の存在を知っているのは高校ではきっと私だけだ。
隠しているわけではないらしいのだが、話す必要があるとも思っていないらしい。
私にはそれがなんだか嬉しい。
滅多に書かれない私の日記の貴重な一日分が一ノ瀬の説明文に終始してしまうくらいには少なくとも、私は一ノ瀬のことが好きなのだ。

■ 母さん、僕のあのボールペン、どうしたでせうね



「ごめんごめん、ちょっと忙しい日々が続いてて。いま平気?」
「うん、だいじょぶ」
「久しぶりだよね。就活の打ち上げ以来だっけ」
「ううん、そのあと一回集まってる。一年以上前だね。ミツル君はどーっすか最近」
「身体に馴染んだスーツと、土日を楽しみにしてる事実にがっかりな感じ」
「ミツル君らしいね。ミツル君が真面目に仕事してることに私はがっかりだ」
「さらっとひどいこと言うとこ、変わってないよね」
「あはは、ちょっと詩的に表現してみてよ」
「スーツを着ててもなんだか肌寒くって、電車の吊り革を掴んで満員電車に揺られ慣れた自分に違和感を覚えなくなってる。そんな生活が悪いわけじゃないけど、東京の空は一年前より鈍いよ」
「ほうほう」
「シノちゃんの方はどう? 六本木の空は鈍い?」
「六本木だって東京っす」
「言われてみれば」
「小説、もう書いてないんだよね」
「うん。主人公が宇宙ネコと出会ってヒロインと心中する話が最後」
「え、なにそれ私知らないよ」
「うそうそ。海の家の話が最後。あれ以来書いてないや」
「最近ひさびさに見つけて読んだんだ。懐かしかったよ。絶対才能あるって」
「ありがと」
「ヒロインってさ、ミヤちゃんをモデルにしてたんだね。前読んだときは気付かなかったけど。仕草とか、そういえばミヤちゃんあんな風だったなーとか。知ってる?
職場の人間関係に疲れていま療養中なんだって」
「へぇ。宮崎さん、もともと気を遣うタイプの子だったからね」
「でもおおごとじゃないから大丈夫って、このあいだお見舞いに行ったら結構元気そうだった」
「それも気を遣ってるのかもしれないけどね」
「うん、だったらちょっとさみしいけどね。で、ヒロインってやっぱりミヤちゃんなんでしょ?」
「そういうわけでもないけどね」
「あ、否定しないんだー」
「否定してるじゃん!」
「詩的にどうぞ」
「また無茶振りをするんだから」
「どうぞ」
「僕は否定するに足る理由を持っていたから、彼女に続きを喋るように合図をした。彼女は喋り続ける。
そのころの僕は話の内容から興味を失っていて、彼女の声はやっぱり心地よいなとか、そういえば昔の彼女の声に似ているなとか、そういうことを考えていた。僕にとって少なくともモデルが誰かという話は些細な問題で、あぁ、些細というのは嘘なのだけども、確かに僕の中でヒロインのモデルは存在したけれども、その子は無茶振りが好きで当時の僕は結構困らされてたものだとなんとなく思い出した。その子の直感は鋭い方であったと記憶しているけれど、その点に関してはどうやら僕の記憶違いだったのかもしれないと僕は評価を修正することにした。それと同時に、その子がやっぱり変わってないってことがほんの少しだけ嬉しくて、僕は受話器のこっち側で気づかれないように少しだけ微笑んでいた。そんなことで微笑むなんて、僕のほうは変わってしまったのかもしれない。それはとても、やれやれだ。ボールペンを手持ち無沙汰に回しながら、ひとつ溜め息がでたことに気がつく。そうだな、もう12月だっていうのに。
こんな感じでどう、満足してくれるかな?」
「私はカマを掛けるという行為が気に入らない。気に入らないだけじゃなくて、そういうのが得意じゃなくて、だから愚直に生きてきたのだと思う。駆け引きなんてのも得意じゃない、だから恋愛にも消極的だ。親友のミヤちゃんは、そんな私のことを好きだと言うし、嫌いだとも言った。そういうとこ、シノちゃんのいいところだけど、そろそろもうちょっと嫌な意味で大人になってみてもいいと思うよ。とても些細な駆け引きだけど、私には精いっぱいの駆け引きで、彼に届けばいいなって思いながら、私は電話を掛ける。内容は、そうだ、彼がずっと前に書いてた小説の話。青臭いけど、キラキラして眩しい話。私は、好きだった。
そうね、私はこんな感じ。どうかな、私にも小説、書けそうかな?」

■ 日を祝うこと、日々を思うこと



「成人式おめでとう。ってクリスマスおめでとうってのと同じくらい間抜けだよね」
僕らは実に1年と9ヶ月と24日ぶりに母校で再会したわけだ。
同じ教室で肩を並べて勉強していた仲間が、それぞれの未来に向かって歩き出して、ようやく一人前の大人として迎えられる今日、果たす感動の再会。
それなのに一ノ瀬さんときたら、僕に会うなり第一声がそれだもの。
もっとも、今日何度もおめでとうと言われている僕も、全くの同意見ではあるのだけど。
「久しぶりだね。一ノ瀬さん」
「なにそのスーツ。サイズ合ってないんじゃない。まだ大きくなるとでも思ってたの?子どもじゃないんだし」
「うん。ちょっと大きいかも」
久々に会う男女。
鏡を通してしか見ない自分とは裏腹に、正装していて大人びた相手にみとれてしまい、
「綺麗になったね」
「そっちこそきまってるね」
なんて会話があってしかるべきなのに、一ノ瀬さんときたら第二声がそれだもの。
もっとも、完全に図星ではあるのだけど。

「一ノ瀬さん誰かに会ったりした?」
「うん。何人か。当たり前だけど皆変わってない」
「そうなの?何人か会ったけど、女の子は見てくれは大きく変わってると思うよ」
一ノ瀬さんもよりいっそう綺麗になったと思う。薄いけど化粧もしているし。
「そうやって外見だけ見てるからモテないんだよ」
なんて言ってる一ノ瀬さんは、口の悪さを補って余りある自分の容姿を自覚してないのかもしれない。

それから僕たちはしばらくの間、高校時代にしていたように、中庭のベンチに座って視界に映る全てのものに片っ端から難癖つけていった。
例えば自販機のメニューがあれから変わっていないだとか、僕らの時代にはなかったエアコンが教室に配備されてるだとか、二年前あれほど激しくいちゃついてた野村と宮下がすれ違うときに挨拶もしなかっただとか、相も変わらずこんなとこで油売ってる僕たちもどうしようもない間抜けだとか。
いろんなことにたんたんと難癖つける一ノ瀬さんは、これで結構懐かしんでるのだと思う。
なんだかんだ言っても高校時代は良かったなぁと言ってるようにしか聞こえないそんな一ノ瀬さんをみてると、僕も今日ここに来たかいがあったと思うのだ。

「歳なんて他人がとるものだと思ってたのにな」
僕が考えもなしにそんなこと言うと、
「そうだねおっさん」
一ノ瀬さんはそう言って自販機で買った珈琲、正確には僕がおごってあげた珈琲をふーふー吹き出した。
猫舌のくせに買ってすぐ飲もうとするところも変わっていないらしい。
「冷めるまで待ったら?」
「珈琲は熱いうちに飲まなきゃ意味ないでしょ?」
「飲めないくせに」
「せっかく買ってもらったから美味しく飲んであげようと思ったのに、感じわる〜い」
一ノ瀬さんだけには言われたくないと思う。
僕は皮肉混じりに言ってみる。
「慣れないことはするなってことじゃないかな」
「本当にメッチャ熱いんだって。私買ってあげるから飲んでみてよ」
と言って一ノ瀬さんが自販機で買ってきた珈琲には大量の氷が入っていて
「間違えちゃった。てへっ」
なんて言うわけ。
「ホント、いい性格してるよね」
僕は意を決し一気にアイス珈琲を流し込んだ。
喉を通った後の鋭い頭の痛みが妙に懐かしくて、高校の時に一度この手をくらったことがあったのを思い出したのだ。
一ノ瀬さんときたら二十歳になってもこれだもの。
もっとも、ずっとそのままでいてほしいとは思うのだけど。

■ 几帳面とテキトー足して2で割っても丁度よくならない



「今の子、男の子でした?女の子でした?」
「どっちでもいいんじゃない」
「そんなこと言ってると、主任に報告しますよ。手塚君がさぼってたって」
「いいじゃん、性別とか。客が一人ってことには変わりない」
「交通量調査とは違うんですよ。どんなお客さんが何曜日の何時頃多いのかってのが重要なんです。バイトだからってさぼらないでください」
「子供は子供じゃん。この時間多いのは幼稚園に迎えに行った帰りだから。That's all」
「例えばおもちゃ売り場なら、男の子が多い時はゲームやカード、戦隊ものの人形を前に置いたりするんです」
「戸部はいちいち細かすぎなんだよ。そんなんだから彼氏できないんだよ。この御時世、円周率だって3の時代だよ。もっとラフに行こうよ」
「そうやってだいたいで適当に生きてるから就職だって決められないんですよ」
「うっ…。ひどい」
「先に言い出したのはそっちです。だいたい円周率が3だったら正六角形と区別がつきませんよ」
「ん?どゆこと?」
「円の面積と、その円に内接する正六角形の面積が等しいということになります」
「んー、あー、たしかに。じゃあ3.14ならいいの?」
「円周率が3.14だとしても、円に内接する正118角形の方が面積が大きくなります」
「118角形?へー。じゃあ3.14159…だったっけ?もっと精密にしてもダメってことでしょ?」
「無理数ですからね。何桁とろうがそれが有限である限り、有限の正N角形の面積より小さくなります」
「じゃあどこかで折り合いつけるわけだ」
「"パイ"なんて記号は記号でしかないですからね。実生活ではどこかである値を決めなきゃしょうがなので、3であったり3.14であったりするわけですね」
「そう。その違い」
「え?」
「3.14を使うのが戸部さんで3を使うのが俺なわけ。どっちも同じこと数えてんの。だけど報告書には違う値が出るわけ」
「男の子23人、女の子8人のところを子供約30人というわけですか?」
「まぁ、そんなとこ。ここで重要なのはどっちも正しいということ。"パイ"の取り方に違いがあるだけ。だから俺はさぼってない」
「それはご立派ですね」
「ね?こんなに口がうまいのになんで就職できないのかな?」
「詭弁を弄してばっかりだからじゃないですか」
「詭弁?見解の相違だな」
「少なくとも手塚君を落とした面接官は私と同じ見解だと言えますね」
「だねー。俺どうしたらいいかな?」
「もしかして凹んでます?」
「うん。かなり。だから戸部付き合って」
「もう一回凹んどきます?」

■ よっぽどつまらない話を聞かされてるときにだけビールはぬるくなる



女子って言うのは生き物は幾つになっても完全には理解できないんだと僕は思う。
きっと50年連れ添った奥さんがいたとしても、100コも歳をとったとしてもわからないものはわからないんままだろう。
いや待てよ、100歳になったら女子のこと以前にいろんなことがわからなくなるのかな、なんて思いながら僕はぬるくなったビールを喉の奥に流し込んだ。

僕は何も言わなかった。
かける言葉を探してそうしてたわけじゃなくて、ただ単にビールの炭酸にいい加減飽きたので、次の一杯を何にしようかと考えていたのだ。
正直なところ僕はこの話題についてすでに興味を失っている。
先ほどぬるくなったビールを一気に飲んだとき、一緒に飲み込んでしまったのだ。

「ごめんね」
彼女はそう言うのだけど、いったい何が悪いというのか。
彼女の方が一年早く生まれたことなのか、大学に落ちて浪人してたことなのか、今までそれを黙ってきたことなのか、それを言うかどうか悩んでうじうじして最近つれなかったことなのか。
何に対して謝っているのか僕にはさっぱりわからない。急速に彼女に対する興味を失っていく。

同じ大学に同じ年に入って同じ時を実に2年も過ごして、今さら私浪人してたから1年上だと改まって言われても、僕はあぁそうなんだねと思うだけでそれ以上でも以下でもない。
いや待てよ。not greater thanとnot less thanは空集合じゃんなんて別のこと考えちゃうくらいどうでもいいことに、彼女はなぜそこまで固執するのだろう。
どうせなら、『ねぇコイキングやっと進化したんだよ。私ももう22だし時間って凄いよね』『いやいや、100年たっても戦わなきゃギャラドスにはなれないから』なんていつもの調子の中で言ってくれれば、僕だって急に覚めたりはしないのに。

彼女はなぜ泣いているのだろう。
何かしらに罪悪感を抱いているからなのか、僕が何も言わないからなのか、泣かないとこの場が収まらないと思っているからなのか。
僕としては、もう、どれでもいいのだけど。
僕はなんだか甘ったるいカクテルなんかが飲みたくなってカシスグレープなんてふざけたものを頼んだ。
そして一口飲んだだけで嫌気がさして、彼女に
「飲んだら?」
と言ってカシスグレープを渡した。
そしたら彼女は肩を震わせながら頷いた。
両手でグラスを持ち上げる彼女を見て僕は思う。
『たかが歳一つくらいで、何も変わらないよ』僕はそう言うんだろうな。
そしてしばらくは今まで通り付き合って、彼女がそれを気にしなくなった頃捨てるんだろうな。
フェードアウトしていく音楽のように、自分の存在を彼女の中から消していくんだろうな。
僕はむせび泣く彼女の声を聞きながら、再びメニューを見ていた。

■ 暴君と合コン



「ねぇ幹事くん、ちょっといい?」
「うん?あんまりよくないけど何?」
「女子学院大との合コンなのに、なんでうちの大学の佐々木先輩がいらっしゃるわけ?」
「いないとは言ってなかったと思うけど?」
「いるとも言わなかったよね?」
「いると言ってたら参加した?」
「してない」
「だろ?」
「そういうの道連れというんだよ」
「苦しみをわかち合うのが友達じゃないか。かのセリヌンティウスは友のために命をはったらしいよ」
「かのメロスはセリヌンティウスを裏切ったりはしなかったぞ」
「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君がこの苦しみをともに分かち合ってくれないのではないかと疑ってしまった。君がもし私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」
「メロスくん、じゃあ遠慮なく君を殴る。君の頬を殴る。私はこの30分の間、何度も君という人物を疑った。生まれて、はじめて君との友情を疑った。君が私に殴られてくれなければ、私は君と抱擁できない」
「だってしょうがないじゃん。学院大のひとみさん、佐々木先輩と同じバイトらしくて。ほら、佐々木先輩同性にはめちゃめちゃもてるから」
「たしかにひとみさんは先輩に傾倒しているようだね」
「ひとみさんが是非にって誘ったらしいよ」
「おかげで僕たちは、先輩のよいしょに徹底しなければならないわけだけど」
「それだけじゃないよ。場が盛り下がろうものなら後できついお叱りを受けるのは僕たちだし」
「僕たち?メロスくん、幹事は君だろ?」
「そううまくいくと思ってらっしゃる?相手はかの佐々木先輩ですぜ」
「だよねー」
「女の子にも手出しにくいしね」
「あの人の姿を見た時点で、それはあきらめてたけどね」
「もったいないね」
「あん。もったいない。しかし、長いね。女の子4人もいて、よりにもよって4人とも同時にトイレに行くかね。そんなに女子という生き物は連れションが好きかね」
「どうせあれだよ。佐々木先輩が、僕らの事いろいろ吹き込んでるんだよ。」
「たぶん、いや間違いなくそうだろうね。あいつ、私の家で吐いたんだよ〜とかね」
「あいつ入学初日に私のことナンパしてきたんだよ〜とかね」
「はい、今では後悔しています。あの顔に騙されました。ごめんなさい」
「はい、飲みすぎました。佐々木先輩に飲まされました。ごめんなさい」
「メロスくん」
「なんだい、セリヌンティウスくん」
「僕らはこれからどうしたらいいかな」
「僕らの友情見せつければ、暴君ディオニスも改心しないかな」
「しないね」
「言わずもがなだね」
「暴君だもんね」
「おー、友よ」

■ 引きこもり行進曲



驚いた。本当に出てこない。
御叮嚀に僕が玄関のベルを押してから部屋の電気が消えた。
下心半分期待半分の100%不純な動機で来たが、これは、なかなかどうしてやっかいで面倒くさいかもしれない。

僕がなぜ、サークルでも1度か2度しか話したことのない菅野さんの家を訪問しているのか。
僕の思惑とか期待から話すとわけがわからなくなりそうなので、先に菅野さんの情報と、訪問の大義名分を詳らかにすることにする。

菅野さんと僕は、同じテニスサークルに所属している。
ともに飲み会要員、幽霊部員なのでほとんど接点はないわけで、当然連絡先も知らない。
その少ない接点で僕が得た彼女の印象は、サバサバしているように見えて、人と接するのが苦手。叱られた経験や挫折の経験が極端に少なく、変なプライドが他人と交わるのを害しているといったところだ。
あくまでもこれは、僕の印象であり実際とは多かれ少なかれ差異がある。

事は、水口さんに呼び出されたことから始まる。
水口さんってのは同じく飲み会要員(このサークルに属している人間のうち半分くらいがラケットを持っていない)で、菅野さんとも僕ともそこそこ親しい。曰く
「菅野ちゃんが大学に出てきてないんだよね。病気とかそんなんじゃないんだけど、なんというか、その、精神的に弱いんだよね…あの子。小山君、一度彼女と話してくれないかな」
いわゆる引きこもりである。大学生の3‐5%が引きこもりと言われているこの御時世、珍しいことではないのだろうが、僕は身近に初めて聞いた。
インターネットでかるく調べると、他者や社会と適合できない人は日本だけにとどまらず、先進国で蔓延しているらしい。
神経質や、自分勝手、親の職業が教師などといった人に多いなんて嘘かほんとかわからない情報を鵜呑みにしても仕方がないが、そこから導き出される菅野さんの印象は僕が抱いていたそれに近いと言えば近い。
かりに菅野さんがそうだとして、なぜ僕に白羽の矢がたったかというと。曰く
「メールにも電話にも出ないし、私が家に行っても出てきてくれないんだよね。心配だし、緊急事態だとして言うけど、菅野ちゃん小山君の事が好きなんだよ。だから小山君だったら心開いてくれると思うんだけど…。ね、だからアドと番号教えるから連絡してみて。小山君さえよければ、食べちゃってもいいからさ」
とこういうわけだ。
最後のは冗談だとしても、まさかそんな背景があったとは…。
とにかくこの千載一遇のチャンスをものにすべく、僕はあれこれと一晩考えてとりあえず会いに行ってみることにしたのだ。正直に告白すれば、あわよくば食ってしまおうという魂胆だ。
誤解しないでほしい、水口さんの冗談を真に受けたわけではない、冗談と知っていて利用しているだけだ。
いざとなったら免罪符として利用すればいいじゃないか。
さらに誤解しないでほしい、僕は誰とでも寝たりしない。
言い忘れたが、僕の、菅野さんに対する外見の印象はパーフェクトだ。
好きか嫌いかで言えば大好きで、抱きたいか抱きたくないかで言えばよろしくお願いしますだ。
ただ、引きこもりとなると日常的に付き合っていくのは難しい…ならいっそのこと…というようなことを昨晩考えたわけだ。

話を戻そう。菅野さんはインターフォンを押しても出てこない。電気も消えた。
これは完全に、部屋にいるけど出たくない、誰であろうと会いたくないという意思表示だろう。
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない、僕だってそれ相応の覚悟をもってきたわけだから。
水口さんの情報を信用すれば、訪問者が僕であることを伝えることができたら菅野さんはドアを開けてくれるはずだ。そこで僕は携帯電話で菅野さんにかけてみることにした。
三回のコールがあって、つながる。
「もしもし、小山君?もしかして今…」
「うん。ドアの前にいるよ。水口さんに菅野さんがあまり学校に来てないって聞いたから」
僕はちょっと迷って、どうせばれるだろうと思って水口さんの名前を出した。
「うん」
「ちょっと話せないかな。ここでもいいし、どこか喫茶店でも」
「ごめん…なさい」
良く考えたら僕はそこまで交渉の術を持ち合わせていなかった。
彼女がなぜ引きこもってるのかも知らないうえに、出てこれない人を引っ張り出す技もない。
僕が使える武器としては、彼女が僕に惚れていることくらいなのだ。
僕は賭けに出た。うまくいけば、ここでは書けない情事にふけることになるかもしれないし、そうでなかったらバッドエンド直行になり兼ねない、ぎりぎりのラインで攻めたのだ。
「じゃあ僕の用件だけ。水口さんに頼んで菅野さんの番号と住所を教えてもらった。その…告白しようと思ってね。そしたら、学校出てきてないってことだったから…。じゃあ、また今度、いつでもいいから聞いてくれるかな?」
インターホンは黙ったままだった。それから数秒たって、ドアの鍵が外される金属音が聞こえた。
そのとき僕は気付いた。僕が彼女の番号を知らなかったように、また彼女も僕の番号を知らないはずなのだ。なぜ電話の相手が僕だとわかったのか。
目の前に、文字通り裸の美女がいるとすれば冷静な判断ができなくなるのは歴史が示してきたとおりで、1分前の僕を責めることはできない。そうだとしても、これほどまでに自分の下心を後悔することになろうとは。
開いたドアから見えたのは、ドッキリ大成功と書いたパネルを持って笑っている菅野さんと水口さんで、この一連の出来事が、僕が引きこもるようになった原因だ。

■ 758/900



センターリサーチだよ、問題なのは。
正直に言うとさ、自己採点は怖いよ。怖かったよ。新聞も見ないようにしてたもの。無駄な努力なんだけどさ。けどそれは別によかったと思う。結果論だけど。というのも、私の点数は予想よりはるかに良かったのだ。だからそれはいいよ。じゃあ何が問題なのかっていうと、それはふたつほどあって、実に陰鬱な気分にさせられてるところだ。せっかくいい点をとれたというのに素直に喜べないのが、いやにもなる。

ひとつはサトのこと。私の隣で自己採点を始めたサトは、採点が進むにつれて涙目になり、やがてどこからか聞こえてくる嗚咽にサトもきっと我慢できなくなったのだろう、今日は出席番号順に座っているせいもあり、クラスの右半分はなんともいえないお通夜のような雰囲気に包まれてしまった。いや、お通夜よりも湿っぽいかもしれない。少なくとも大往生だった祖母のお通夜よりは、よっぽど。
教室の右半分で喪に服してるように見える女子と、左半分で凹みながらも馬鹿みたいに騒いでる男子。400切ったぜ、どっと笑い声が響く。400て。馬鹿みたいに、と言ったけど、馬鹿そのものに訂正。

サトが頑張ってきたのは、それは私はよく知っている。図書館でよく一緒に勉強会をやってはいろいろ教えてあげたし、受験に集中したいからという、正直私からは身勝手にも思える理由で、半年付き合っていた彼氏と別れたのも知っている。相談に乗った私は呆気にとられたものだ。合格したらもう一回私から告白するよ、とサトは言っていたけど、もう結末は決まったようなものだった。
別に今年のセンターが特別難しかったというわけではないと思う。毎年難しい教科はあると思うし、泣いてもどうにもならないのにと思う。ばーか、ばーか、甘えてるんじゃねーよ。どす黒い方の私が心の中で叫ぶ。でも、サトが悲しんでる姿を見ると私も泣きたくなるのはなんでなんだろうね。

副担の岡谷が回ってきた。一応、生徒の成績を気にしているようだ。いや、当然の義務なんだけど。
そして岡谷にしては小さな声で訊く。
「どうだった?」
「ひみつ」
「なんだよ、いいじゃん見せろよ」
岡谷は急いでひっくり返されたマークシートを私の手から奪い、覗き込む。どうみてもセクハラだ。セクハラじゃなかったとしても、訴えれば勝てる。
「お、すげーいいじゃん」
このお通夜の雰囲気が岡谷には伝わらなかったらしい。空気を読まない能力にかけては、岡谷の右に並ぶものはいないと思う。これは私だけでなく、9組の統一見解だ。じとーっと私は涼しい目で岡谷を睨む。岡谷もにこりとほほえみ返す。絶対つたわってない。鈍感教師。右足の小指をタンスにでもぶつけとけ。
「そういえば、岡チャンの頃のセンターってどんな感じだったの?」
「俺のとき?」
「そ。何年前だっけ」
「わからん」
「ちょっとは考えてよ」
「大学はいったのが2003年だから、そのころやんね。お前らも過去問解いたことあるだろ」
「覚えてないよ、普通は」
「数学と国語が異様に難しくてな。帰りのバスから、自己採点まですごい空気だったぞ」
「ふうん」
「今日の空気の5倍は重かった」
5倍、5倍。ふうん。
「岡チャン、推薦だからセンター受けてねーって言ってたじゃん」
私の左隣に座っているタカシが言う。何気なく話に入ってきたこの男だが、実はこの男こそが私を悩ませる問題のふたつめなのだった。
「いいよ、岡チャンのことは。じゃなくてアンタ何点だったのさ」
タカシは勝ち誇ったような笑みを浮かべながら自己採点表を私に見せた。一瞬期待してしまった私の瞳に映ったのは、444という文字だった。
「は?」
「ほら、ゾロ目、かっこいいだろ」
はたきたくなった。殴りたくなった。往復ビンタして、やっぱり一往復半のビンタをしたかった。
私とタカシは、一緒に東京に行こうと約束していた。大学のレベルでは私のほうが遥かに上回るけど、タカシが本気を出せばなんとか世間的にというかいろんなものに許される最低限のレベルの私立には受かるものだと私は信じていた。信じた結果がこれだ。蹴りたくなった。背中をじゃない、顔面を。蹴りたい顔面。
「センター利用じゃなくてもちゃんと受かるから大丈夫だって」
「あっそ」
呆れる。呆れた。ため息も出た。

放課後にみんながいなくなって、静かになった教室で私とタカシはキスをした。
タカシはきっと、東京の大学には受からない。かといっていまさら私には大学を変えるつもりもない。こうやって二人でいるのもあとわずかだ。

遠距離恋愛。そういう選択肢もあることは知っている。
けど、でも、そうはならない。
タカシはきっと同じ大学の、私より垢ぬけていて遊び方を知っている女の子を好きになり、私のことなんて忘れてしまうだろう。漠然とした予感だけど、きっとそうなるだとうという自信はある。
そして私はきっと同じ大学の、タカシよりずっと知的で大人びていていろんなことを知っている男の子を好きになり、タカシのことなんて忘れてしまうだろう。これも漠然とした予感だけど、私たちはきっとそんな理由で、うまくいくための貴重な、もしかしたら最後だったかもしれない機会を逃して、すれ違い始めたのだと思ってしまえるような、いつもより少し苦いキスの味だった。

 | HOME |  »

■ アバウト

  • 何人かでまったりと。
  • どれがだれでなにがどうなのか不明。
  • 水兵リーベ僕の街 の続きになっていましたよ。

■ ログ

■ フォト