五言絶句 2004年 二度目の冬
737 → 745
何を思ったかね、携帯を電車の中に置き忘れて3日くらい離れ離れになっていたわけですけども。
全 然 困 ら ね ぇ の
違和感が何もないんです。だって元々鳴らないから、毒男ですもの。
ほんと、軽く時計がないな、ってくらいです、まぁちょっと致命的といえば致命的なんですけれど
と思ったら、離れ離れになっている間にメールが入っていました。
「レポート、今日の5時までに変更になったぞ」
携帯といっしょに、単位も落ちました、このまま隕石とか落ちてこないかなぁ。
バイト先の〜 僕の部署に〜 女の子が〜 ひとりもいなくて〜 ルルル〜♪
商店街で掛かってるクリスマスソングが蛍の光に聞こえて、このまま世界ごと閉店しちゃえばいいのにとか考えてたら
横を走ってた自転車にぶつかって左足が痛くてうずくまっていたら隣を幸せそうなカップルが歩いていってリタイヤ。
「違ぇだろ、サンタは何も悪くねぇだろ!」
大声と同時に、佐藤さんが机を叩いた。一瞬周りにいた客がじろっとこっちを見た。
僕はとにかく恥ずかしくて、はやく佐藤さんにこの話題を終わらせて欲しかった。
「さ、佐藤さん、少し落ち着いてくださいよ!」
「だからよ、サンタクロースは何も悪くないんだよ!
お前がクリスマスなんかなければいいのに、カップルなんか滅びればいいのに、って言うのはわかる。
だが、サンタクロースなんか死んでしまえばいいのに、は違うだろ!
サンタクロースは子供にプレゼントをあげるだけだろ! 悪いのは全部マスコミだよ…マスコミが悪いんだ…」
そう言った佐藤さんは涙ぐんでいた。僕にはその気持ちが痛いほどわかった。
佐藤さんに掛ける言葉を必死で探していると、涙を拭いた佐藤さんが起き上がって言った。
「それに、サンタはいるじゃないか」
「え、どこにですか?」
「五反田にだよ」
僕は、五反田に行かなくても、セブンイレブンにいるじゃないか、と思うと同時に、一生佐藤さんという男には勝てないんだろうな、と感じていた。
「最近の中学生は、ネットで簡単に動画とか手に入っちまうんだから、つまんねぇよなぁ」
4杯目の焼酎をクイっと煽りながら、佐藤さんが言った。
「そうっすかね、簡単に手に入るんだからいいんじゃないすか?金も掛からないし」
僕がそう応えると、佐藤さんはいきなり机を叩いた。店員がこっちをジロリと見たので、
僕はいたたまれなくなり、その店員にカシスオレンジを頼んだ。
「バカ言うんじゃねぇよ! 俺らのころはよ、兄貴の部屋にこっそり忍び込んでパクってあとでバレて殴られたり、
エロ兄貴のいる友達からビデオ借りたり、はじめて洋モノの裏ビデオを見たときは、友達と男泣きしたもんだったよ、それが男の友情だったんた」
そう言った佐藤さんの目は、珍しく輝いていた。
「教育実習にきた先生んちに行ったら、めっちゃたくさん裏ビデオがあってな、
俺たちはその先生とすっげぇ仲良くなって、教育実習が終わるとき、俺らはめっちゃ泣いたんだ、本気でよ。それも男の友情だったよ」
佐藤さんの話を聞いているうちに、僕もその時代に生まれたかったなぁ、と思うと同時に、
30代素人童貞の佐藤さんを見ていると、そんな時代に生まれるよりイケメンに生まれたいと感じていた。
今「電気」と変換しようとしたら、第一変換候補が「DENKI」でした、そりゃモテるわけないわ(笑)
毒男たちでつつく鍋もいいもんだと思った4度目のクリスマスイブ。
馴染めないバイト先の忘年会に駆り出されてみると、
僕の直属の上司にあたる、本名がヒロシの人が
「ヒロシです…。 部下の彼女を食べたのがみんなにバレてしまったとです」とか言ってて、大ウケしてて、
非モテな先輩と「ふざけんなよ奥さん美人なくせに、なぁ」みたいなノリで盛り上がってたら、
その先輩には彼女がいました。写メ見せてもらったんだけど、なんか普通に可愛いの。おとなしそうな娘でさ。
あ、おなかすいた、と思って何気なく吉野屋に軽装(Tシャツ+上着+サンダル=バカ)で行こうとすると、雪が降ってることに気がつきました。
雪を踏みしめるたびに、サンダルを履いた素足が濡れるのなんの。これは風邪ひきますって、ガチで。やっばいなー、やめときゃよかったなー
とか言ってる側からウワァァァァ
ドシーーーン(派手に転んだ音)
いててててて……
傘を差した女の子「クスクスクス、そんなところで寝てると風邪ひいちゃうよ?」
……てな感じの出会いを売ってください」
「えっと、2500万円になりまーす」
「高っ!」
「あ、ただいま年末特別割引で8800円になりまーす」
「エロゲかよ!」