TRASH VANGUARD
肥溜めの先駆者。(直訳) ペットボトルロケットでぶっとばせ!
カテゴライズに困るメモとか創作とかねvv

† 短04
ロングラブレター(仮)
友達と弁当を食べ終わって、次の授業の宿題の続きをするために自分の席につく彼女。
そこに彼がやってくる。
「ちょっと相談あるんだけど、いい?」
「ん、いいけど、もしかしてお昼食べ終わるの待ってた?」
「まぁね」...
かみひこうき、とんだ(仮)
虫の声すらほとんど聞こえない山道を歩いていく。 夏だというのに、もう落ち葉が積もっていて、踏み込むたびにカサカサと小気味よい音が響いた。 なかなかいいもんだ、と思った。 足音と、ポケットに突っ込んだMP3プレイヤーから流れる音楽だけが、耳に入っている。 ラジオの方が好きだったが、そんな我侭を言っても仕方がない、イヤホンから溢れてくる歌は誰の歌だったか、 とにかくずっと前に転送しておいた曲だということは確かな気がした...
† 短05
同じ窓から見えた夜(仮)
居酒屋から、独特な雰囲気をもった集団が外に出てくる。年齢は全員同じくらいだろうか。
誰かが音頭を取ってみんなをまとめて次の店に連れて行こうとしている。 吐いたりするような人間がいるわけでもなく、落ち着いているといえば落ち着いているようにも見える。
全員が次の店に行くわけではないらしく、挨拶をして集団から外れる人たちもおり、タクシー乗り場に何人かが並んでいる。 タクシーはまだなかなか来ない...
世界は100人の村(プロローグ)
いのちはめぐるものだと知っていた。
「ね、ユカ姉はどうしていつも僕に付きまとうの?」
 すっかり風の吹かなくなった草原で、ロングスカートを履いた(これがまたよく似合っていると思う。 フリルがついているのは私の趣味だ)男の子が私に尋ねた。 あまりに突拍子な質問だったので思わず私は少し噴出してしまう...
夏が死んだ日。
カナカナが泣いていた。
いつもならただうざったいだけなのだろうが、
今日はカナカナの鳴き声も耳にあまり入らない。
カナカナカナカナ、ガタン...
バス停で僕らは祈った(仮)
傘は二つ。赤と黒。彼女の傘はちょっとオシャレな赤い傘で、僕の傘は紳士用のずっしりと重い黒い傘だ。 雨はやまないし、停留所の屋根からは当たり前のように水滴が落ちてくるので、傘は必須なのだった。
さっきポケットから出したばかりの小型ラジオからはいかにも梅雨といった感じのインストゥルメンタルが流れていて、 余計に雨の寒さを際立たせている...
君は僕を最期まで抱きしめてくれるか
世界が狂っているのか、僕が狂っているのか、僕にはもう区別がつかなかった。
周りは全て信じない方がいいだろうと思った。霧の中で僕はもう北と南の区別もつかなかった。
野良犬の遠吠えがやけに多く聞こえて、僕の神経が一瞬研ぎ澄まされた。
僕は思わず棒を構えた...
† 短06
終末思想アクセラレータ
走る。走らなければ殺される。
僕たちは走って逃げていた。誰から? いや違う。何から? さぁ、わからない。
でもつかまると殺されることだけは直感的に理解していた。 そして僕たちの存在理由はただ殺されるためだけにあるのだろうということも直感的に理解していた...
For you While you are here
カタカタカタカタ。キーボードを打つ音。ズザッ。重い拳で何かを殴ったような音。
カタカタカタカタ。 ズザッズザッ。 カタカタカタカタ。 ズザッ...
イレブンバック、レクイエム
最下位が前回の覇者にカードを2枚渡す。代わりに僕が受け取ったのは3と7のカードだ。偶然7を既に3枚持っていたので、僕はこれで労働者を代表しての革命の権利を得たことになる。 僕がまず4のカードを出した。それに続いてカードが切られていく。スペード、スペード、スペード。...
灰色ジャンキーオブオパシティ
平べったい石を拾って、人差し指を上手く引っ掛けて回転させながら遠くへ遠くへと。 平べったい石はそのまま水面で跳ねて、7回くらい跳ねて、やがてずっと遠くで沈んだ。
「さすが元変化球投手」
「バーカ、どっちかというと速球派だよ」
川の向こう岸はもう東京だ。俺が投げた石は健闘しながらも東京までたどり着くことなく多摩川の底に沈んだ...
ブランコ・グラン・ギニョル
運が悪かったとしか言いようがない。僕が何気なく、今日もこのちょうど夕日が沈む瞬間が鑑賞できうる公園で (この景色のよさが別の意味でさらに運が悪かったとも言えるかもしれない)、ひとりでブランコに乗って黄昏ているところを、 彼女に見られてしまったことは、本当に運が悪かったとしか言いようがない。
しかもその彼女というのが、僕に前々から恋心を抱いているらしくいろいろな相談、 例えば受験が心配だの部活と勉強が両立できないだの、 僕に言わせればそんな悩みすら解決できない君の能力の欠如が一番の問題だということになるが...
セブンスドーム #00
起きて、身だしなみを整える。一日分のエネルギーを摂取するために錠剤を噛み砕く。 無味無臭。今日は素数の日なので、一日中雨が降る。 傘なんて前世紀的なものなんか使わなくても濡れない方法はいくらでもあったが、 傘を使うことを推奨されているので僕はおとなしく傘を使う。 このレトロな形状は嫌いではなかった。
玄関のドアを開ける。人工的な雨の音。 傘は嫌いじゃないが濡れるのは嫌いなので、僕は身体の周りにとても薄い水を弾く膜を張る計算を行う。 この制服というやつも...
まっしろのあさ
「このまっしろい世界には、僕と君しかいないんだ」
 彼は私の目を真っ直ぐに見ていつもと同じ台詞を繰り返す。 思わず笑みがこぼれてしまう。同じ台詞を繰り返すしか能のない彼の中身にだ。 彼はまっしろい世界と形容するけれど、実はこの世界はもう真っ白なんかじゃない。 私の荷物にあった24色の絵の具を間違えて全部混ぜて形容のしがたい汚い色になってしまった アラビアゴムとグリセリンのゲルをそこら中にぶちまけたからだ。 そういえば小さな頃にも同じことをして両親に怒られた記憶がある。 あのときの色はこんな色じゃなくて、もっと青みが少なくて、緑も少なくて、...
かこのなまえ
足元に蝉の死骸。僕らは立ち止まる。
「珍しいね、蝉」
日差しは例年通り異常気象とも言える強さで、僕らに襲い掛かっている。 普段はあまり汗をかかないナコの白い肌を汗の雫が伝う。ナコですらそうなのだから、僕はもう汗だくだった...

† Old Txts*(accomplishment):完成したもの
75日間の手記[011109]
―――だから私は75日間だけ日記を付けてみようと思う。
水兵リーベ僕の街[030301+]
H He Li Be B C N O ... 期末テスト中に見た、七曲り船のクラーク船長に襲われる夢。
七曲ドロップス暗く[140422]
Na Mg Al Si P S Cl Ar K ... 卒論制作中に見た、水兵が愛した僕らの街の夢。

† Old Txts*(resignation):途中終了したもの
銀色リトマス紙
ゆとりたちのコンビニエンス。あの頃見た空が青かったかなんて、もう覚えてもいないよ。
海の呼ぶ声に、僕らは。
―――三方を山に囲まれた海沿いの小さな町で、僕たちは退屈な毎日を生きていた。

† memorandom